コラム
2026.01.08
子どもの短所や苦手が目につく。子どもの困った表れにどう対処すれば?
親野智可等先生 マナビード教育コラムVol.5

多くの親御さんが次のようなことで悩んでいます。マイペースで何をやっても遅い。宿題をやらずに遊んでばかり。
やるべきことをやらずにやりたいことを優先する。朝自分で起きない。片づけをしない…。
親のサガとして、どうしても子どもの短所や苦手が目についてしまうのだと思います。
そして、これらの困った表れが自分の育て方やしつけに原因があると思い込んでいます。
それでさらに悩みが深まります。
でも、実はこれらの多くは育て方やしつけのせいではなく、その子が生まれ持った資質によるところが大きいのです。
その証拠に、同じように育てているきょうだいでもできる子とできない子がいます。
もし育て方やしつけで決まるなら、きょうだい全員ができるようになるか、全員できなくなるかどちらかになるはずです。
でもそうならないのですから、生まれつきの資質が大きいとしか考えようがありません。
このことは、最近注目されている行動遺伝学でも判明していることです。
『「遺伝が9割」そして、親にできること』(ダニエル・ディック著。三笠書房)もご参考にしてください。
生まれつきの資質ですから、子どものせいでも親のせいでもありません。
子どもを責めたり自分を責めたりしても仕方がないわけです。
親は自分にできることをやってあげれば、それで大丈夫です。ぜひやってあげてほしいのは工夫です。
そして工夫には方法の工夫と言葉の工夫の2種類があります。
方法の工夫とは、子どもが苦手なことが少しでもやりやすいように合理的な工夫をしてあげることです。
言葉の工夫とは、子どもの自信ややる気が高まるような声かけを工夫することです。
それで改善することもあります。でも、簡単には改善しないことも多いと思います。
生まれつき苦手なことを直すのは簡単なことではないからです。
そういうときは一緒に手伝ったりやってあげたりすれば大丈夫です。
「やってあげるのは自立の妨げだ」と脅す人もいますが、これも発達心理学の研究で迷信だということがわかっています。
できないことをいつまでも否定的に叱り続けて、その結果親子関係が悪くなったり子どもの自己肯定感が下がったりする方が
よっぽど自立の妨げになります。
それよりも、できないことは手伝ったりやってあげたりした方が、親子関係がよくなり子どもの自己肯定感も上がり、
その結果自分のペースで着実に自立していくことができるのです。
ですから、手伝ったりやってあげたりするときに、イチイチ叱りながらではなく、親子のふれあいの一つとして
楽しみながらやってあげてください。
そうしているうち子どももだんだん成長していき、自分のトリセツがわかってきて本人なりに対処できるようになります。
それに、子どものうちに直らなくても、大人になれば仕事や生活のことを考えて直す必要性を強く感じるようになります。
大人が「直したい」と思えば、子どもよりはるかに直る可能性が高まります。
大人にはそういう能力があるからです。必要な情報を自分で集められます。必要な物を買うお金もあります。
経験の蓄積があり思考力もついているので自分で工夫して問題解決する応用力もあります。意志力もついています。
何より大事な「直さなければ」というモチベーションの真剣度が違います。
ということで、まとめます。子どもの短所や苦手などの困った表れについては、親にできる工夫を楽しみながらしてあげてください。
結果は期待しないで楽しみながらです。
どうしてもできないことはやってあげればいいので、ひたすら親子関係をよくすることを最優先してください。
親子関係がよくなれば子どもの自己肯定感もだんだん上がっていきます。
そうすれば着実に自立していけます。
